父が岐阜で大切に守ってきた「有限会社千代田」を2017年に正式に承継した私ですが、会社として事業を行うにあたり、その直前に始めていた一つの挑戦が大きく貢献することになりました。
大好きな食に関わり、フードコーディネーターなどの仕事を軸にしたいという気持ちは常にありましたが、東京の広大な市場では、その資格だけでは厳しい現実があります。そこで、これまでの経験を活かした道を探る中で、「6次産業化プランナー」に登録することにしました。
生産物の価値を高める「6次産業化中央プランナー」に
個人事業主として2014年に起業した時、「Food+ Create」という屋号を掲げました。
食の仕事をしたいという思いと、食にクリエイティブな何かを加えたいという願いを込めて名付けた屋号です。その「何か」を探す中で、「6次産業化プランナー」という制度を知りました。
国は2010年に「六次産業化・地産地消法」を公布して以降、農家が主体となって従来の1次産業に2次・3次産業を掛け合わせた6次産業化を推進していました。それに合わせて、生産物の付加価値を高め、収入を安定的に増やすために6次産業化・農泊・農福連携などの事業化を支援する「6次産業化プランナー」という制度を設けています。
ただ、農業一筋だった農家の方がいきなり新規事業を立ち上げることはハードルが高いため、その相談窓口として各都道府県に1ヵ所、6次産業化サポートセンターが置かれているのです。
経験を活かし、全国各地で挑戦する方々をご支援
私自身のアパレル、花、インテリア業界での経験が、こうした事業に取り組もうとする方々のお役に立てるのではないか。
そう考えて2016年、都道府県の枠に捉われず全国規模の視点で高度な案件や広域的な課題に対応する、より専門性の高い「6次産業化中央プランナー」に登録申請しました。
流通や小売、マーケティング戦略、新商品開発、通信販売などの経験・実績を記載して申請したところ、秋には登録が完了。11月には、新潟県新潟市で開かれた「フードメッセ in にいがた」に先輩プランナー同席のもと参加し、プランナー活動をスタートさせました。
首都圏の大規模な見本市とは異なり、地域に根差し、地域独自の優れた「食に関するモノ」が大集合する食の総合見本市に参加したことで、地域で事業を営む方々の挑戦する姿やお困りの点に触れることができ、プランナーとしての先行きが見え始めたように感じました。

その後は島根県のいちじくや柿の販路拡大につながるブース作りのレクチャー、長野県の米粉を使った商品企画・ブランディング、青森県のヤーコンの商品企画など、多岐にわたるご支援をさせていただきました。
アピール不足で全国的に認知されていない産品がまだまだ多いのが現状です。商品の魅力をバイヤーに効果的に伝え、知名度向上や販路拡大を図りたい。そんな全国各地の農家の皆さんからお声がけをいただき、ご支援させていただくようになったことを大変ありがたく思っています。
魅力ある売り場演出の専門資格「VMDインストラクター」を取得
6次化中央プランナーとして生産者の皆さんをご支援する中で、重要な出口となる店舗はもちろん、バイヤーや各種企業にPRできる展示会での「売り場づくり」についてお伝えする機会が増えました。
そこでお客様をより多様な場面でご支援するために必要なスキルとして頭に浮かんだのは、アパレル時代から知っていた「VMD (Visual Merchandiser、ビジュアルマーチャンダイザー)」の手法です。
ブランドや企業の世界観を表現し、魅力ある店づくり・売り場演出をするVMDの仕事は、自分の食の仕事と組み合わせることでより強みを強化し、セルフブランディングの柱にもなるに違いない。そう考え、専門資格である「VMDインストラクター」を取得することにしました。

2017年にVMDインストラクターの認定を受け、その後も研鑽を重ね、2022年にはシニアVMDインストラクターの資格も取得しました。
全国展開している大手の洋服店や雑貨屋などが、どの店舗でも統一感のあるディスプレイを実現できるのは、VMDという仕組みによって、全店舗共通の指示書やマニュアルが作成・共有されているからです。
VMDを学ぶ場としてネットで見つけた「売場塾」の講座は、フリーランスから大手企業に勤める方まで、多岐にわたる専門性のある方々が、より専門性の高いインストラクターを目指す場として活気に満ちていました。
お客様に伝える言語化スキルやノウハウ習得
さまざまな職業に対応できる視覚的手法の原理原則と基礎を学び、お客様に効果的な商品の陳列・演出・表現を説明する際の言語化のノウハウを習得しました。都内で3日間の講義と試験を経て、VMDインストラクター協会認定の「VMDインストラクター」資格を取得することができました。
同期には、著名な建築施工会社のデザイナーの方や、大手文具メーカーの企画担当の方などがおり、卒業生には食品関係に携わる方もいて、VMDが様々な場面で求められるスキルであると実感しました。
この資格を得たことで、それまでの経験に、客観的な信頼性と専門性が加わり、「食のVMD」という独自の提供価値を確立することができたと言えます。

全国でのセミナー・コンサルティング実績が、今後のコラムへと繋がります。
「6次産業化中央プランナー」と「食のVMD」という新たな“仕事の軸”を得たことは、次なるステップに向けた自信と仕事上の大きなバックボーンとなり、ゆっくりと始まった私の起業は、いよいよ加速していくことになるのです。

