展示会商談などを通じて販路拡大を目指す事業者様にとって、流通業界特有の用語を理解しておくことは、商談を成功させるための重要なポイントです。
前回解説した「掛け率」も商談成功の重要なポイントですが、今回取り上げる「帳合(ちょうあい)」も、バイヤーとの取引をスムーズに進めるために、ぜひ理解しておきたい流通の基礎知識です。
「帳合」
「帳合」とは? – ビジネスの基本を理解しよう
「帳合(ちょうあい)」とは、小売業者(お店)が、どの卸売業者から商品を仕入れているか、というお付き合い(取引ルートや取引口座)」のことを指します。
商品をある小売業者に置いてもらいたい場合、そのお店が日頃から取引している特定の卸売業者 (これを「帳合先(ちょうあいさき)」と呼びます)を通じて商品を提案・納品するのが、食品や雑貨業界では一般的な流通のシステムです。
実際の商談ではどう使われる? ~展示会での会話例~
【用例】商談シーンでの具体的な会話例をご紹介します! (商品に興味を持ったバイヤーに対して)
■出展者: 「本日は弊社の商品にご興味をお持ちいただき、誠にありがとうございます。
もしよろしければ、今後の進め方についてお伺いしたいのですが、御社ではお取引の際に、特定の帳合先(お取引のある卸売業者様)はいらっしゃいますでしょうか?
それとも、弊社との直接のお取引もご検討いただけるような状況でしょうか?」
■バイヤーの返答パターン例:
- バイヤーA: 「そうですね、うちは基本的には〇〇卸さんと帳合があるので、そちら経由でお願いしたいですね。」
- バイヤーB: 「いえ、特に決まった帳合先はありませんので、御社と直接お取引できればと考えていますよ。」
このように、商談の中で「帳合先」の有無を確認したり、バイヤーから特定の卸売業者を指定されたりする場面は少なくありません。
この「帳合」を理解しているかどうかで、提案の仕方やその後の話の進め方が大きく変わってきます。
なぜ「帳合」は存在するの?
「帳合」という仕組みは、一見するとメーカーにとっては制約のように感じるかもしれません。
しかし、この仕組みが長年流通業界で機能してきたのには、メーカー、卸売業者、小売業者それぞれにとってメリットがあるからです。
流通を支える三者のメリット
■小売業者 (お店) にとっての「帳合」のメリット
- 手間が減る!: いろんな会社とバラバラに連絡するより、窓口が一つだと楽にできる。
- 仕事がスムーズに!: 注文や支払い、在庫の管理などが、まとめてできて効率化できる。
- 助けてもらえることも!: 商品を運んでもらったり、新しい情報をもらったり、時にはお店の応援(販促)もしてもらえる。
■卸売業者 (問屋)にとっての「帳合」のメリット
- まとめて運べる!: たくさんの商品を一度に運べるので、コストを抑えた配送ができる。
- 流通のまとめ役!: いろんなメーカーの商品をお店に届ける、大事なパイプ役になれる。
■メーカー (作る人) にとっての「帳合」のメリット
- 安心できる!: 商品が売れた後のお金の回収などを、一部任せられることがある。
- たくさんのお店に置いてもらえる!: 自分たちだけで全部のお店とやり取りするより、問屋さんを通じた方が、より多くのお店に商品を届けやすくなる。
帳合を理解し、展示会商談を有利に進めるコツ
以前お伝えした「掛け率」の話も、もう一度思い出してみてください。
この二つの大切な流通の知識(帳合と掛け率)を事前にしっかり頭に入れて準備しておくことが、当日のバイヤーとの商談をスムーズに進め、良い結果を出すための「鍵」になります。
帳合の仕組みを理解した上で、
「うちの商品は、どの帳合先を通じて提案するのがベストかな?」
「直接取引を提案できるバイヤーさんかな?その場合の条件は?」
といったことを考えながら展示会商談の準備をする。
これこそが、皆さんの大切な商品を多くの人に届けるための「帳合の活かし方」です。
ぜひ、今回の記事を参考にして、自信を持って展示会に臨んでくださいね!あなたのビジネスの成功を応援しています!
こうした流通の基礎についても、オンライン講座「売場の学校」では、詳しくご紹介します。
