コラム私のこれまでとこれから

レシピ開発でアウトプットの連続も、最高売り上げ達成で自己肯定感アップ

コラム

カラオケ店舗でお料理を提供するアルバイトの皆さんが「同じ味」を提供できるようレシピを考え続ける日々は、私自身にとって「味を検証する力」を高め、業務用レシピを作る力を磨くことにつながりました。その結果として、「過去最高売上」を達成できたことは、大きな自信となりました。

「誰が作っても同じ味」を追求するレシピ開発

再現性の高いレシピと、パフェの「断面図」

カラオケ業界最大手「ビッグエコー」のメニュー開発においては「食材ロスゼロ」やブランドごとに特徴を出すなど厳しい制約があったことは前回お伝えした通りですが、レシピ作りでも、乗り越えなければいけない幾つものハードルがあります。

そもそもカラオケボックスの狭いキッチン、限られた器具等で調理するのは、料理経験もさまざまなアルバイトの皆さんです。そのため、誰が作っても同じ味、同じクオリティで提供できる「再現性の高いレシピ」を作らなければいけません。

業務用の冷凍食材を扱う場合、レンジ解凍なら何分か、流水解凍なら何分かといった解凍方法から、どんな順番で素材を切り、火を通し、どう味付けをするかまで、何度も何度も細かくチェックしながらレシピ化します。

パフェの場合は、グラスにどのくらいの大きさのカステラを何個入れるか、クリームやフルーツをどんな順番でいくつ入れるかといった作り方が一目でわかるような「断面図」も描くなど、伝え方も工夫しました。

ご当地メニューのレシピ化と「検証の力」

「B-1グランプリ」が社会的に注目され、ご当地メニューが流行った時には横手焼きそばなどの人気メニューをレシピ化し、特集ページなども作りました。常に食の流行に目を凝らし、「コレ!」と思ったメニューをレシピ化する日々が続きます。

扱う食材は、ソースのように味が決まっているものもあれば、米やパスタのように、これから味付けをしていく「ベース」となる素材もあります。レシピ作りの最終段階では、特に後者の味わいを狙い通りに、かつ誰もが同じように作れるかを確認するため、「検証」の作業を何度も行ってレシピを微調整しました。

例えば「塩ひとつまみ」といった曖昧な表現を具体的な数値に落とし込むなど、この“検証の力”が、次に飲食店を立ち上げた時には大いに役立ちましたし、「業務用レシピを作る力」はこの頃に大いに磨かれました。

アウトプットの連続の先にある、最高の成功体験

チームで掴んだ「過去最高売上」

次第に業務量が増え、私一人では仕事を回しきれなくなったため、商社との窓口を担当するアシスタントの方に入っていただきました。彼女と密にコミュニケーションを取りながらメニュー開発を進めた結果、担当していたビッグエコーで過去最高の年間売上を達成することができました。

この功績を称え、本部の上役の方々が「よくやってくれた。ありがとう」と食事会を開いてくださいました。そのことを報告すると、自社の社長も「それはすごいな、鼻が高いよ」と、まるで自分のことのように喜んでくれたのです。

常にメニューを考え、試作を作り続ける「アウトプットをし続ける」日々は大変でしたが、クライアントと自社の両方から努力を認めてもらえたこの経験は、私の自己肯定感を大きく引き上げてくれました。

知見を広げた「オランダ産ニシン」のプロモーション

固定観念を覆すメニュー開発

私が在籍していたマーケティングセバスチャンではビッグエコーのほかに複数のクライアントの仕事も請け負っており、オランダ産ニシンの塩漬けのメニュー開発からプロモーションまで担当したこともあります。

日本でニシンといえば、甘露煮や煮付けのイメージが強いですが、扱ったのはオランダ王室御用達の品。産卵経験のない若いニシンの塩漬けは、脂が乗ってとろけるような味わいが特徴です。その本当の美味しさを伝えるため、日本的なニシンのイメージを払拭するメニュー開発が求められました。

まず考えたのは、玉ねぎやピクルスを使ったマリネ感覚のレシピです。家庭や店舗で手軽に調理でき、ピザやパスタ、バケットサンドなど幅広いアレンジが効くことがポイントです。

「手まり寿司」の大ヒットと販路拡大

特に好評だったのは和風レシピです。柚子胡椒やポン酢、大葉などを使った手まり寿司や押し寿司は見た目の可愛らしさも相まって、「旨い!驚いた!ニシンのイメージが変わった!」「洋風のイメージがあったけど、和風にも使えるのね!」と大好評でした。

開発した手まり寿司のレシピ。この商品は、軽く炙ることで脂の旨味と香ばしさが一層際立ち、驚くほど美味しくなります。
オランダ大使館で開催されたイベントで、この手まり寿司を振る舞った際の一枚。本場の方々からも大変好評をいただきました。

オランダ大使館でのイベントで本場の方々から多数のお褒めの言葉を頂戴したことは嬉しい思い出です。展示会ではバイヤーさんたちの試食が進んで商談につながり、某大手フードセレクトショップや高級スーパー、高級回転寿司、有名レストランやバルなどでの採用が決まるなど販路拡大にも結びつきました。

アウトプットの連続と、過去の経験が活きた日々

この会社では、地域商社として代理店的な役割を担い、時には卸業として商品の流通まで手掛けるなど、その業務は多岐にわたりました。そのため、商社や製造・メーカーとのやり取りが非常に多く、フードコーディネーターのスキル以外にバランスの取れた能力が必要とされたのです。

それまでに、小売や卸売の現場、そしてフードワークスでのクライアントワークを通して会社間の商習慣を経験していたので、うまく協力関係を築くことができたのだと思っています。

さらにここでは、フードコーディネーターの枠を大きく超えて、「ゼロから一店舗を創り上げる」という経験もさせていただきました。これについては、次回、お伝えします。どうぞ、お楽しみに。

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