新たな二つの専門スキル「6次化中央プランナー」と「VMDインストラクター」を得たことで、私の仕事の軸は、ようやくハッキリと定まりました。フリーランスとして“緩やかな起業”を果たしてから数年、ようやく事業展開の方向性が見えてきたのです。
そんな折、以前から父に相談されていた休眠状態の会社「千代田」の継承話が、再び持ち上がりました。 継ぐか、継がないか。もう、決断の時が迫っていました。
キャリアに「信頼性」「専門性」が加わり、独自価値提供へ
父が大切にしてきた会社を継ぎたい気持ちは、ずっとありました。しかし、法人を経営する自信が持てずにいました。
そんな中、2016年から2017年にかけて取得した「6次化中央プランナー」と「VMDインストラクター」の資格は、大きな転機となります。
これまでのキャリアに客観的な「信頼性」と「専門性」が加わり、「食のVMD」という独自の価値を提供できる確信が持てたのです。事業展開の方向性は見えたものの、まだ一歩を踏み出すには不安が残っていました。
「唯一無二のキャリア」との評価
悩んだ末、事業者の経営課題などについて公的支援を行う「東京都よろず支援拠点」という組織を見つけ、相談にいきました。相談料が無料というのも、ありがたいことでした。
東京・新橋にあるその相談所で、それまでのキャリアや実際に携わった仕事内容、ビジネスプランなどを丁寧に説明しました。フードコーディネーターでありフードスタイリスト、食品の商品バイヤーの経験があり、TV通販の商品プロデュースを手掛け、大手外食チェーンや食品メーカーといったクライアントに対するメニューやレシピの開発、販路拡大―。
こうした経験を伝えたところ、食の業界に強いその担当の方はこう言ったのです。
「やってきた仕事の幅が広く、唯一無二のキャリアを持っていますね。
だったら、その事業の幅をより広げていくためにコンサルティング業はどうだろう。
入口としてセミナーをやってみては」。
未知への挑戦。「セミナー」開催と、集客の壁
「唯一無二のキャリア」という評価はとても嬉しいものでした。でも、私がセミナー?コンサルティング?? 全く想像もしていなかった仕事の提案に驚きました。でも、その担当の方は、こう続けたのです。
「セミナーといっても大きく考えず、最初の参加者は家族でも友達一人でもいいんです。まずは、『セミナーを開催している』という実績を作ることが必要なのです」
セミナーを自分で開催し、自分のスキルや経験を人に伝えるということは全く未知の領域でしたが、「唯一無二のキャリアを持っている」と評価していただいたことが大きな後押しになりました。

実際にセミナーを始めようとした時、ぶつかった壁は「集客」でした。教えたい人と学びたい人をつなぐ学びのプラットフォームに登録し、参加者が足を運びやすいよう渋谷のとあるビルの部屋を借りて小さなセミナーを開いてみました。
内容としては、ディスプレイについてのノウハウをお伝えしようと考え、実際のディスプレイに関する用具、道具などを持参していたので会場までの持ち運びがかなり重労働でした。
展示の仕方を見せるために、少し広めの部屋を借りていたのですが、その分、経費もかかります。知り合いに声をかけたこともありましたが、なかなか受講者は増えず、集客の難しさを実感しました。
それでも、新たな仕事の道を開くため、セミナーの内容を考え、自分のスキルや経験を改めて振り返り、お伝えしたい内容を資料にまとめるといった地道な作業を繰り返しました。こうした経験が後に、「食」「買い手」「売り場」という3つのプロ経験を掛け合わせた、独自の「売れるためのメソッド」に繋がっていきます。
情報発信の重要性と、両親の想いへの敬意
一方、集客の難しさを体験したことで、情報発信の大切さも身にしみて感じたので、ホームページを作ることにしました。シンプルな作りではありましたが、私のキャリアや経験がどなたかのお役に立てるように、という思いを込めて、できるだけ詳細な情報を盛り込んで作成しました。このホームページも、後に大きな役割を果たすことになります。
セミナーを開催し続ける中で、経営者の大先輩である父が30年以上もお店と会社を維持し続けてきたことに改めて大きな敬意を持つようになりました。父と母が大切にしてきた料理の店「千代田」は、私にとっても大事なお店です。
振り返るほどに、そんな思いがどんどん強くなりました。

従業員の方々は忙しい両親に代わって幼い頃の私や姉弟を可愛がって、遊んでくれました。
お客様からは、「親戚が集まる時は、必ず千代田を予約する」「子どもの頃から、祝いごとには千代田と決めている」などと言っていただき、繁盛していました。たくさんのお客様が「おいしかった」「また来るね」と言ってくださった店です。
「絶対に潰すわけにはいかない」。
振り返るほどに、そんな思いがどんどん強くなりました。
綺麗な経営状態に感謝し、事業承継を決意するまで
父と一緒に会社の謄本と過去の決算書を持って公認会計士の方に会いに行くと、財務状況に問題はなく、「やってみたらいいのでは」と背中を押されました。

綺麗な経営状況を維持してくれていた父に感謝しつつ、私は「有限会社千代田」を継承することを決めました。
法人の代表に就任したのと同時に、自分の仕事を体現する屋号として「Food+Create」を掲げ、「有限会社千代田」として再スタートを切ったのが2017年10月1日です。
ここから、今へとつながる新しい道が始まりました。
【連載:私のこれまでとこれから】
◀ 前の記事:【 Vol.20】個人事業主としてのキャリアアップへ、新たな挑戦
▶ 次の記事:【Vol.22】は現在執筆中です!次回をお待ちください。
📖 【Vol.1】から読む/全記事の目次一覧はこちら

